本記事では、リスティング広告におけるCPC(Cost Per Click・クリック単価)について紹介しています。
リスティング広告は、購買意欲が高いユーザーにアプローチできる運用型広告ですが、広告運用する上で、
「CPCの計算方法が分からない」
「リスティング広告のCPCはどんな仕組みで決まるのか知りたい」
「CPCを下げる方法が知りたい」
上記のような問題が生じるかと思います。
本記事では、リスティング広告運用を始めたが成果が出ない担当者様へ向けて、リスティング広告における「CPCの基礎知識」「CPC改善が必要か判断する方法」「CPCを下げる5つの強力な方法」について紹介します。
リスティング広告におけるCPC(クリック単価)とは
リスティング広告におけるCPCとは、広告1クリックあたりの単価のことです。
リスティング広告は検索エンジン上に表示するテキスト広告からLPに誘導するための広告なので「1人のユーザーをLPに誘導するための費用」と考えても良いでしょう。
CPCが低いと費用対効果が高くなるため、リスティング広告運用する上では、CPCに気を配りながら運用していく必要があります。
CPCの計算方法
CPCの計算方法について紹介します。
自社CPCを計算する際は、下記の計算式を利用しましょう。
CPC=広告費÷クリック数
例えば、広告費に「10万円」掛かり、クリック数が「1,000回」だった場合は、
10万÷1,000=100(CPC)
となるので、CPCは100円になります。
上限CPC
上限CPCという言葉についても理解しておきましょう。
上限CPCは、自社で1クリックあたりに掛けられる上限額のことです。
リスティング広告の掲載は入札によって決まるため、事前に上限額を設定しておくことで、それ以上の費用が掛からないための設定が可能となっています。
例えば、上限CPCを「100円」に設定しておけば、CPCが「100円」を超えることがなくなるということです。
拡張CPC
また、リスティング広告には拡張CPCという機能もあります。
拡張CPCとは、自動で入札単価を調整する機能です。
Googleがコンバージョンが見込める入札単価に自動で調整するため、効率よくリスティング広告を運用することができます。
しかし、拡張CPCには下記2つのデメリットがあるのでこちらも理解しておきましょう。
【デメリット①】上限CPCよりも優先される
拡張CPCは、上限CPCよりも優先されてしまうと覚えておきましょう。
例えば、上限CPCを「100円」に設定していても、拡張CPCによりコンバージョンを最大化すると、拡張CPCの方が優先となるため、CPCが100円を超えてしまうことがあるということです。
【デメリット②】ある程度のCV(コンバージョン)実績が必要
デメリット2つ目は、ある程度のCV実績が必要という点です。
拡張CPCは、Googleの学習機能を活用した機能となるため、ある程度のCV実績がないと上手く稼働せずにクリック単価が下げられてしまうことがあります。
リスティング広告でCPCが決まる仕組み
リスティング広告のCPCや表示される掲載順位がどのように決まるか、仕組みについて紹介します。
リスティング広告の掲載順位は「上限CPC」と「品質スコア」によって決定します。
「品質スコア」とは「クリック数」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」の3つの要素から決まる広告の品質制度です。
リスティング広告では「上限CPC」と「品質スコア」から「広告ランク」を算出し、この「広告ランク」を元に計算順位を決定します。
計算式は下記の通りとなっています。
広告ランク=上限CPC×品質スコア
掲載順位の決まり方【実例】
実例を元に掲載順位の決まり方についてみていきましょう。
入札単価 | 品質スコア | 広告ランク | 掲載順位 | |
A社 | 90円 | 8 | 720 | 1 |
B社 | 100円 | 6 | 600 | 2 |
C社 | 120円 | 4 | 480 | 3 |
A社の例であれば、90(入札単価)×8(品質スコア)=720が広告ランクとなっており、これを元に掲載順位が決定します。
B社はA社よりも入札単価が高額ですが、品質スコアが低いため、掲載順位は2番目になるということです。
リスティング広告においては、入札単価が低くても品質スコアが高ければ、上位表示させることができると覚えておきましょう。
費用の決まり方【実例】
続いては、実際に支払いする費用の決まり方について紹介をします。
実際に支払いする費用については、下記計算式を使用します。
実際に支払いする費用=1つ下の他社の広告ランク÷自分の品質スコア
入札単価 | 品質スコア | 広告ランク | 支払い費用 | |
A社 | 90円 | 8 | 720 | 76円 |
B社 | 100円 | 6 | 600 | 81円 |
C社 | 120円 | 4 | 480 | 上限に定めた額 |
A社の実際に支払う費用を計算する場合は、下記の様に求めます。
600(B社の広告ランク)÷8(自分の品質スコア)+1=76円(実際の支払い費用)
品質スコアが高い程、実際に支払う額が安くなるので、費用対効果の高い広告運用を行う上では、品質スコアは重要になります。
リスティング広告の平均CPCを紹介
リスティング広告平均CPCは全体で「約281円」と言われています。
ただし、平均CPCは業種により大きな変動があります。
各業種の平均CPCをまとめましたので、自社のリスティング広告CPCと比べて参考にしてみましょう。
業種 | 平均CPC単価 |
BtoB | 約348円 |
消費者サービス | 約669円 |
デート | 約291円 |
Eコマース | 約121円 |
金融と保険 | 約371円 |
産業サービス | 約276円 |
教育 | 約251円 |
ヘルス&メディカル | 約274円 |
不動産 | 約248円 |
旅行 | 約160円 |
引用:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
CPCの改善が必要か判断する方法
リスティング広告におけるCPCの仕組みや平均単価について紹介しましたが、自社CPCの改善が必要かの判断方法が分からない方も多いのではないでしょうか?
そんな方向けに、自社でCPCの改善が必要か判断するための2つの方法を紹介します。
【方法①】CPAから判断
1つ目の方法はCPA(コンバージョン単価)から判断する方法です。
CPAとは、1つのコンバージョンを獲得するための単価を指します。
CPAは、下記計算式を使用し算出します。
CPA = 掛かった広告費用 ÷ コンバージョン数
商品購入がコンバージョンの場合、1つの商品の利益から目標CPAを決定します。
例えば、目標CPAを5,000円と設定をしており、実際のCPAがこれを上回っている又は、上回りそうな場合は、CPCの改善が必要と判断できます。
CPAを改善するには「CPCを下げる」「コンバージョンを上げる」いずれかの対策が必要になります。
リスティング広告で赤字にならない様に、事前に目標CPAについて決めておくようにしましょう。
【方法②】Googleキーワードプランナーから判断
引用:Google広告
2つ目の方法は、Googleキーワードプランナーで判断する方法です。
キーワードプランナーでキーワード検索することで、キーワード別の入札単価を「低価格帯」と「高価格帯」で判断することが可能となっています。
自社のCPCが「高価格帯」に近い価格となっている場合は「キーワード変更をする」又は「品質ランクを向上させる」等の対策が必要と判断ができます。
リスティング広告のCPCを下げる5つの強力な方法
最後にリスティング広告のCPCを下げる5つの強力な方法を紹介します。
自社のCPC改善が必要と判断した方は、下記5つの方法を実践してみましょう。
①入札単価を下げる
入札単価を下げることは、リスティング広告のCPCを下げる最も基本的な方法です。
入札単価を下げることで、上限CPCを確実に下げることができます。
ただしこの方法が適用できるのは、キャンペーン平均掲載順位が「3位」を上回っている場合です。
これよりも計算順位が低い場合は、入札単価を下げてしまうと広告表示回数が減少し過ぎてしまうためです。
平均掲載順位が3位以上の場合は、入札単価を下げる余裕があると判断できます。
掲載順位も少し下がりますが、同じ予算でより多くのクリックを獲得でき、より多くの時間で広告表示できるため、リスティング広告での露出が増え、潜在的なユーザーも増える可能性があります。
②新しいキーワードのバリエーションを発見する
2つ目の方法は、Googleキーワードプランナーで新しいキーワードのバリエーションを発見する方法です。
あなたが小さなスタートアップ企業で、莫大な広告予算を支払う余裕がない場合は、この方法が最適となります。
Googleキーワードプランナーを立ち上げて「新しいキーワードを見つける」と選択すると、新しいキーワードのバリエーションを見つけることができます。
その後、自社が狙っているメインキーワードを入力します。
今回はHP制作会社と仮定してキーワードの調査を行ってみましょう。
メインキーワード「HP作成」と入力すると、キーワードプランナーが新しいキーワードのバリエーションを提示してくれます。
これを全て追加するのではなく「キーワードのボリューム」「競合性」「CPC」この3つを考慮してキーワードを取得しましょう。
理想は「キーワードのボリュームがあり」「競合性も低く」「平均CPCが低いもの」が理想です。
上記画像で言えば「ホームページ 作り方」が理想のキーワードと言えるでしょう。
③ロングテールキーワードを含める
3つ目の方法は、ロングテールキーワードを含める方法です。
ロングテールキーワードとは、3~4つの単語で構成されたキーワードを指します。
ロングテールキーワードは検索ボリュームは少ないですが、競合性が低いため、少ない予算で広告表示が可能といったメリットがあります。
また、ロングテールキーワードは品質スコアが高くなる傾向もあると言われています。
ロングテールキーワードを見つけるには「キーワードプランナー」や「Googleサジェスト」を利用しましょう。
新しいキーワードのバリエーションで獲得した「ホームページ 作り方」をGoogleの検索エンジンで検索を掛けると、上記のようなサジェストが表示をされます。
これらのキーワードを、キーワードプランナーで確認し「キーワードのボリューム」「競合性」「CPC」を考慮した上で選定すれば、更にCPCを下げることが可能です。
④品質スコアを向上させる
4つ目の方法は、品質スコアを向上させる方法です。
冒頭でも紹介した通り、品質スコアが向上すれば広告ランクが上がり、CPCが下がります。
品質スコアを向上させる方法は、下記3つの方法があります。
【品質スコア向上させる方法①】広告の関連性を高める
広告の関連性を向上させる良い方法は、広告グループのキーワードを広告の見出しと説明に含めて、LPがキーワードとの関連性が最も高いことを確認することです。
広告グループのキーワードを広告に含めることで、Googleとの関連性が高くなり、品質スコアが高くなります。
【品質スコア向上させる方法②】別のLPを使用する
様々なLPをテストして、キーワードと広告の両方により関連性の高いページを見つけます。
広告グループのキーワードの一部を含むページ、または広告で強調表示した機能の一部を含むページを見つけてみましょう。
広告を変更してLPを改善することで、関連性を高め、広告グループ内のキーワードの品質スコアを向上させ、CPCを下げることができます。
【品質スコア向上させる方法③】密接に関連する広告グループを作成する
キーワードと広告グループのテーマを絞ったリストを作成することで品質スコア向上をさせることができます。
自社でPC用品を販売しており、デスクトップやノートPCを販売していると仮定します。
このような場合「デスクトップ」「ノートPC」用にそれぞれ広告グループを作成し、関連性の高いキーワード選定を行います。
誘導するページも「デスクトップ」「ノートPC」と各ページに誘導できるように設定しましょう。
例えば「ノートPC」を探しているユーザーに対して「デスクトップPC」のテキスト広告を表示させ、デスクトップPCの購入ページに誘導しても広告効果は得られないということです。
「ノートPC」を探しているユーザーに対しては「ノートPC」の広告を表示させ「ノートPC」の購入ページに誘導してあげることで、関連性が高くなり、品質スコアも向上しやすくなるということです。
⑤デバイス、広告スケジュールから入札を調整する
5つ目の方法は、デバイス、広告スケジュールから入札調整する方法です。
CPCを下げるには、キーワードだけではなく「最も使用されているデバイス」や「広告出稿に最適な時間帯」を考慮することが大切です。
例えば、自社でビジネスマンをターゲットとしたサービスを扱っている場合、おそらく一番効果が見込める時間は「朝の通勤時間帯」や「仕事が終わった後の夜」と予想できるでしょう。
このように、自社のターゲットが一番多く利用するであろう時間帯に絞って入札調整することで費用対効果が高い広告運用が可能になるということです。
まとめ
リスティング広告のCPC完全ガイドについて紹介しました。
リスティング広告のCPCは費用対効果の高い広告運用を行う上では重要な指標です。
入札単価だけではなく「クリック数」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」等の品質スコアで掲載順位やCPCが変動します。
CPCの改善は、ある程度のスキルも必要となってくるので、インハウスでの改善が困難な場合は代理店の活用も検討してみましょう。